辛口レビュアーろじねこさん 映画「きさらぎ駅」斬り

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みなさん、きさらぎ駅と言うお話をご存知でしょうか?

きさらぎ駅とは、2002年にインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に投稿された一連のやり取りから生まれた都市伝説の事です。

出典:恐怖の泉

それは、仕事帰りの電車で寝過ごしてしまった人の書き込みから始まる。

その人は「はすみ」と名乗り、電車で目が覚めたら車窓には見慣れない風景が流れていると書き込んだ。

そしてその電車が次に停車した駅が「きさらぎ駅」でした。

しかしその掲示板を見ていた人が「日本には『きさらぎ駅』という駅は存在しない」事を指摘する。

はすみ氏は駅の周りを散策するが、不気味な出来事ばかり起こる。

偶然車で通りかかった男性から「この辺りには何もないからひらけた場所まで乗せていきましょうか?」との提案を受ける。

いささかの不安は感じたが、その男性の提案を受け入れ車に乗り込んだはすみ氏だったが、携帯の充電が底をつきそうになり、一旦書き込みを停止し、充電できる環境になったら再度状況を書き込むと告げ、掲示板から姿を消す。

しかしはすみ氏が掲示板に戻ってくる事はなかった・・・

ろじねこさんがきさらぎ駅を知ったのは2年ほど前で、ネットで都市伝説を調べている時に偶然見つけました。

ほどよく不気味で、ほどよくリアルで、なかなかお気にりの都市伝説になりました。

それからしばらく経ったある日。

その頃、心が荒みきっていたろじねこさんは「ボクみたいなクマは、B級ホラー映画がお似合いだ」と思い、Amazonプライムビデオで「つまらなそうなB級ホラー映画」を探していると・・・

なんと「きさらぎ駅」の映画を発見しました!

出典:amazonプライムビデオ

きさらぎ駅って映画になってたの?

と言う驚きと同時に「必ずやつまらないであろう」と言う確信を感じました。

ろじねこさんみたいなB級クマにはきさらぎ駅みたいなB級映画がお似合いだ。と、早速試聴しました。

そして鑑賞終了・・・

え?これ面白かったんじゃない?

なんとまさかの面白かったのです!

出典:映画「きさらぎ駅」公式サイト

誤解のないように書いておきますが「傑作」や「名作」と言う類の作品ではありません。

ろじねこさんは100点満点中10点くらいの映画を想定して鑑賞したら、まさかの30点だった感じです。

世間的には褒められた映画ではないかもしれませんが、10点を想定して観たろじねこさんにとっては想像の何倍も面白かったのです。

いや、待て。

これは身も心も荒みきっているから「面白い」と誤認しただけなのではないだろうか。

きっと普通の人が見たら面白くないに決まっている。

と思い、他の方の感想を調べて観ました。

感想は概ね不評でしたが、やはりろじねこさんの様に「意外と面白かったぞ」勢がちらほらいました。

出典:ヤフー

やっぱり面白かったんだ・・・

自分だけが知ってる面白い映画を見つけたような高揚感と優越感に浸っていたら・・・

なんと映画「きさらぎ駅」の続編「きさらぎ駅Re:」の公開が発表になりました!!

出典:映画「きさらぎ駅Re:」公式X

続編やるの!!!!

そんなに人気あったの?

と言うことで、映画「きさらぎ駅Re:」公開に向けた、辛口レビュアーろじねこさんが、映画「きさらぎ駅」の何が面白かったかの考察記事を書いてみる事にしました。

以降、映画「きさらぎ駅」のネタバレを含みます。

ネタバレが嫌な方は、視聴後にご覧ください。

物語の主人公は大学で民俗学を学ぶ堤春奈さん。

出典: 映画「きさらぎ駅」公式サイト

彼女は都市伝説を研究していく中で、一時期世間を賑わせていた「きさらぎ駅」のエピソードに出会う。

そしてはすみ氏に辿り着いた彼女は、はすみ氏にインタビューを申し込む。

はすみこと葉山純子氏は、きさらぎ駅騒動以降、世間から身を隠すように近くの高校に通う姪っ子と二人で暮らしていた。

出典: 映画「きさらぎ駅」公式サイト

はすみ氏の口から語られた「きさらぎ駅」の真実は以下の通りだった。

当時、高校で教師をしていたはすみ氏は、仕事帰りに電車で寝過ごしてしまう。

電車を降りて反対側の電車に乗るもまた寝過ごす・・・それを何度か繰り返したのち、きさらぎ駅に着いていたとの事。

出典:映画ナタリー

同じ電車に乗り合わせた数名と共に、きさらぎ駅周辺を調べるが、次々に起きる怪奇現象で一人、また一人と同行者は死亡していく・・・

そしてはすみ氏と、はすみ氏が働く高校に通う女子生徒宮崎明日香の二人だけになった。

出典: 映画「きさらぎ駅」公式サイト

その時に車が通りかかり、運転手の男性から「近くの病院まで送りましょうか?」との提案を受ける。

不安ではあったがその提案を受け入れた二人は、車に乗り込むも、しばらくして運転手の男性も怪奇現象の一部である事を知る。

命からがら車から逃げ出した二人は、古い神社に辿り着く。

出典:映画ナタリー

そこで、この狂った世界からの出口と思われる光の門を見つける。

そこを目指す二人だが、ゾンビ化した運転手と死んだはずの同行者達が立ちはだかる。

はすみ氏は、教師として自分の通う高校の生徒だけは助けたいと思い、自分が盾となり女子生徒を先に光の門に向かわせる。

しかし女子生徒が光の門をくぐった瞬間、光の門はその世界と共に爆発してしまう・・・

そして何もない草原に立っているはすみ氏・・・

光の門は最初に入った一人を殺し、残った者を元の世界に戻すと言う罠だったのだ・・・

そしてはすみ氏は、自分がきさらぎ駅に迷い込んでから7年もの月日が経っている事を知る・・・

これがはすみ氏から語られたきさらぎ駅騒動の真実でした。

はすみ氏は教師として生徒を守れなかった事を悔やみ、世間から身を隠すように暮らして来たという。

しかし、きさらぎ駅の真実を聞いた堤春奈さんは、ある仮説を思いつく。

はすみ氏がきさらぎ駅に辿り着く前に、電車の上りと下りを何度も乗り換えたことがきさらぎ駅(異世界)へと辿り着くための儀式だったのではないかと・・・

その説をはすみ氏に話すも、はすみ氏は怪訝そうな顔で春奈さんを見るだけだった。

インタビューを終えた春奈さんは自らの仮説の答えを確かめるために、はすみ氏と同じ時間の電車に乗り、同じ工程で下車・再乗車を繰り返す・・・

そして一瞬の睡魔に襲われた春奈さんは目が覚めた瞬間、車内に異変が起きている事の気付く。

女子高生の宮崎明日香さんをはじめ、はすみ氏の話に登場していた人々が同じ電車に乗っていたのだ・・・

春奈さんはきさらぎ駅へ向かう電車に乗ってしまったのだ。

出典:映画ナタリー

そしてはすみ氏の話通り、電車はきさらぎ駅に到着した・・・

これが映画「きさらぎ駅」の導入部分です。

どうだい!B級臭がプンプンするだろう?

実際映像で見ると、安っぽいキャラ設定と過剰な演技、それに輪をかけて安っぽいCGで文面以上にB級感満載です。

これはいわゆるアイドル映画である。

可愛い若手女優や可愛いアイドルがかわいそうな目に会いながらも頑張って生き残る様を、ファンが応援しながら見るアイドル映画なのです。

出典:映画ナタリー

かわいい子が大画面に映っていればいいのです。それ以上はいらないのです。

だから主演女優やアイドルのファンだけが見に来てもペイできるくらいの予算しかかけられない低予算の映画なのです。

そう・・・ここまでは・・・

しかし、アイドル映画だったこの映画「きさらぎ駅」が、ここから全くの別物に変貌します!

最後の警告です。ここから始まる一大スペクタクルを体感したい人は、先に映画を見てください。

では皆さん!最後まで一気にネタバラしします!

きさらぎ駅に到着した春奈さんはある異変に気付く・・・

乗客の言動や行動がはすみ氏から聞いた内容と全く一緒である事に・・・

すべてがはすみ氏の話通りなのです。

そう、春奈さんはこれから起こる全ての怪奇現象を知った状態できさらぎ駅に到着したのです。

ここから、春奈無双が始まる!

出典:映画ナタリー

起こる怪奇現象をすべて知っている春奈さんは、みんなに的確に指示を出し、あらゆる怪奇現象を神回避して行く。

最初は指示を出す小娘にみんな反発していたが、あまりの神回避ぶりに次第に春奈さんの指示に従うようになっていく。

春奈無双前に死んだ最初の犠牲者以外、全員が生存した状態で例の運転手まで辿り着く。

運転手ははすみ氏の話通り「町まで乗せていくよ」と提案する。

「これで町まで行ける」と安堵する面々。

しかしその目の前でいきなり運転手を石で撲殺する春奈さん。

そして「じゃ、この車を使って町まで行きましょう」と提案するも、善意の運転手をいきなり撲殺した春奈さんにドン引きする一行。

その空気を察して「あ、このおじさんはアレだから。」と説明する春奈さん。

人を撲殺しておいて「大丈夫」と言い切る春奈さんにさらにドン引きする面々。

みんなを半ば強引に車に乗せて出口の神社を目指すが、ここでこの話が大きく変わる事になった。

はすみ氏は「男の運転する車」に乗ったが、春奈さんは「男から車を奪った」のだ。

これによりストーリーが分岐してしまい、はすみ氏の話にはない展開に突入してしまう。

みんなは春奈さんに指示を仰ぐが、見知らぬ展開に困惑する春奈さん。

そしてこれまでの帳尻を合わせるかのように次々と死んでいく仲間たち・・・

そして春奈さんと女子高生の二人になったところで例の光の門に到着。

はすみ氏から光の門の罠を聞いていた春奈さんは、自分が先に入って爆死することで女子高生を助けようとするが、

ここで葛藤が始まる・・・

自分が死んで女子高生を助けるか、何も知らない女子高生を先に光の門に入れて自分が助かるか・・・

春奈さんは葛藤に末、女子高生にこう叫ぶ。

「私の事はいいから先にあの門に入って!」

春奈さんは女子高生を犠牲にすることで自分が生き残る道を選んだのだ・・・

そして、先に光の門に飛び込む女子高生・・・

その瞬間光の門は爆発・・・・せずに静かに消えて行った。

女子高生は、はすみ氏が生還した時と同じ様に何もない草原に立っていた・・・

きさらぎ駅の世界に春奈さんを残して・・・・

はすみ氏は後悔していた。

女子高生を見殺しにしたことを。

女子高生を残して自分が先に光の門をくぐって、自分だけが助かったことを。

そしてはすみ氏はきさらぎ駅への行き方にも気付いていた。

はすみ氏は見殺しにした女子高生を救い出すべく、ある計画を思いつく・・・

その計画は以下の通りだ。

ネットの掲示板にきさらぎ駅の出来事を書き込み、興味を持つ人間が現れるのを待つ。

計画通り興味を持ってはすみ氏の前に現れた春奈さんに、異世界への行き方を「春奈さん自身で気付く」ようにきさらぎ駅での出来事を話す。

出典:映画ナタリー

案の定、きさらぎ駅への行き方に気付いた春奈さんがはすみ氏にその内容を話すが、はすみ氏は取り合わない。

そして、はすみ氏の計画通り春奈さんが自らの仮説の正しさを証明するために「自分の意志」できさらぎ駅に迷い込む。

紆余曲折を経て、春奈さんが女子高生と光の門に辿り着いた時に、最後に自分可愛さで女子高生を見殺しにして自分だけが助かる道を選ぶことを予想し、

「最初に門をくぐってはいけない」と言う嘘を忍ばせていたのだ。

「1人入れば1人抜けれる」と言うきさらぎ駅の世界のルールに従い、最初に門をくぐった女子高生だけが助かり、春奈さんはきさらぎ駅の世界に取り込まれたままになってしまいました。

全ては、教え子を見殺しにして自分だけが助かったはすみ氏が、女子高生を救い出すことでその後悔を断ち切るための計画だったのです。

春奈さんはその罠にはまってしまったのです。

まさかこんな大どんでん返しが待っているとは・・・

確かに100点の映画ではありませんが、10点の映画を予想していたろじねこさんはいたく感動しました。

しかし・・・モヤモヤした気持ちもありました。

結局、悪役だったはすみ氏の思い通りの結末になってしまった事・・・

悪役が勝ってしまった事に少しモヤモヤした気持ちを抱えていたら、最後にさらなるどんでん返しが待っていました。

春奈さんがはすみ氏の自宅で、きさらぎ駅への行き方の仮説を話している時、はすみ氏は取り合わなかったが、

部屋の外で、はすみ氏の姪が聞いていたのです。

その話を聞いた姪は、友達と一緒にSNS用に「きさらぎ駅の行き方を試してみた!」と言う動画を撮る事にした。

当然、異世界になど行くはずはないので、話題になって「いいね」が沢山もらえれば良い程度の気持ちだったが、彼女は本当にきさらぎ駅行きの電車に乗ってしまった。

そこで生還した女子高生の代わりに車内で眠る春奈さんが映しだされたところで、映画「きさらぎ駅」はおわる。

素晴しい!

大どんでん返しのストーリーだけじゃなく、ちゃんと悪役だったはすみ氏にも、自らの嘘によって大事な人を失うと言う罰まで用意している・・・

素晴しいです。

10点の映画を覚悟していたろじねこさんは、本当に感動しました。

アイドル映画はかわいいアイドルが出ていればそれで十分なのです。

かわいいアイドルを出した時点で裏方の仕事は終わりです。

なのにそれだけでは満足せずに、少ない予算でいかにこの「アイドル映画」を素晴らしい「作品」にするか?

これは、言わば無駄な努力ともいえます。

しかしビジネス映画では終わらせたくないという作り手の思いが、この作品を特異な作品にして、そして続編へとつながったのです。

私は映画「きさらぎ駅」にかかわった全てのスタッフに最大級の賛辞を送りたい。

私は作り手の思いを大事にしたいと思っています。

「こんなもんでいいだろう」というところでも「こんなものでは終わらせない」という作り手の思いや矜持を評価したいのです。

それこそがもの作りの魂だと思うからです。

超大作とか、興行収入何百億とか、それ結果に過ぎません。

たとえ誰の目にも止まらない作品だったとしても、「いいものにしたい」と言う思いは絶対無駄ではないと思いたいのです。

作り手の意地に拍手を送れる受け手でいたいのです。

だからろじねこさんは映画「きさらぎ駅」を素晴らしい作品だと胸を張って言いたい。

じゃ、みんなに薦められるか?と聞かれれば・・・ちょっと・・・まぁ・・・結局30点の映画である事には変わりないからなぁ・・・

とは思ってしますが・・・

とにかく続編が作られた時点で、映画「きさらぎ駅」は勝ったと思っています。

そのくらいうれしかったです。

続編が発表になってこんなにうれしかった事は無かったとおもいます。

出典:映画「きさらぎ駅re:」公式サイト

大好きな作品を作ったスタッフの努力が評価されたことが本当にうれしかったです。

なので映画「きさらぎ駅RE:」は、こけても大丈夫です。

作られた時点で勝ちなのです。

だから期待しないで見に行きます。