なぜ映画『ルックバック』は30分で泣ける人と、泣けない人に分かれるのか?

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暑いです。

暑すぎて、部屋からほとんど出ておりません。

なので書くことが無くてごめんなさい。

でも先日、映画「ルックバック」を見てきましたので、その感想とルックバックは前半30分で泣ける泣けない問題に関するろじねこさんの考えを書いてみます。

出典:劇場アニメ「ルックバック」公式サイト

今回の記事は辛口レビューと2〜3の考察の合体版の様な内容になりますので、ルックバックのネタバレや酷評を含む可能性があります。

ルックバックのネタバレや酷評を読みたくない人はお帰りください。

ではルックバックの解説から始めます。

ルックバックはチェンソーマンで有名な藤本タツキさんの漫画で、「このマンガがすごい!2022」で男部門で1位を取った作品です。

出典:このマンガが凄い公式サイト

序盤のあらすじは以下のとおりです。

学内の学級新聞に毎回4コマ漫画2本を連載する小学4年生の女の子「藤野」ちゃんが、ある日担任の先生に呼び出される。

そこで、4コマ漫画2本の内1本の枠を隣のクラスの不登校の生徒「京本」さんに譲ってくれないか?とお願いされる。

漫画や絵に絶対に自信を持っていた藤野ちゃんは「漫画はそんな甘いものじゃない。学校にも来れないような子に描けるとは思いませんがね・・・」と憎まれ口を叩きながらも渋々承諾。

そして不登校の京本さんのデビュー作が乗った学級新聞を読んだ藤野ちゃんは、その作品に打ちのめされる。

京本さんの4コマ漫画は、ストーリーもオチも無い(様に感じる)が、その絵は美術的な底力に裏打ちされた「ちゃんとした絵」であった。

絵に対するプライドを粉々に打ち砕かれた藤野ちゃんは、生活のすべてを投げうって漫画の勉強にのめり込んでいく。

そして6年生になったある日、いつものように二人の4コマ漫画が載った学級新聞を手に取った藤野ちゃんは、唐突に自分が京本さんには絶対に勝てない事を悟って、連載をやめてしまう。

そして卒業式の日、藤野ちゃんは担任の先生から京本さんに卒業証書を届けてほしいと頼まれる。

4コマ漫画の連載を始めても、結局一度も学校に来ることの無かった京本さんの家に来た藤野ちゃん。

チャイムを押しても、名前を呼んでも京本さんは出てこず。

仕方なく部屋と前に卒業証書を置いて家を出たが、

その時、卒業証書を持ってきてくれたのが一緒に連載をしていた藤野ちゃんである事に気付いた京本さんは、裸足のまま玄関から駆け出してきて

「藤野先生ですか!」と声をあげる。

戸惑う藤野ちゃんをよそに、京本さんは「ずっと先生の漫画のファンでした!」と告白。

さらに戸惑う藤野ちゃんに対して、京本さんはいかに藤野先生の漫画が素晴らしいかを矢継ぎ早に語りだす。

「5年生くらいになってからは、絵もありえないくらいに上手くなって、漫画もドンドン面白くなって、その辺りからはもう神作しか無くて・・・」

まんざらでもなくなる藤野ちゃんに、京本さんはこう問う、

「なのに、なんで6年の途中で連載をやめちゃったんですか?」

ろじねこさんは、集英社の「ジャンプ+」と言うアプリを入れた時に、冒頭部分が無料で読めたので読んでみて、

「なるほど・・・こりゃみんな藤本タツキさんに夢見ちゃう訳だ」と、感心した記憶があります。

それからなんとなく続きを読まずにいたら、映画化が発表されたので、映画まで続きを読まずに公開日を迎えました。

素晴らしい作品でした。

アニメーションの質も素晴らしく高く、

ストーリーも良い、

そもそもろじねこさんは藤本タツキさんの絵自体が好きなので、独特の絵の感じがスクリーンで見れて嬉しかったです。

そして映画を見終わって、しばらく経ってこのようなポストを見かけた。

なるほど〜・・・

そっかぁ・・・

そうだよね・・・

ろじねこさんは30分経たずに号泣でした。

嗚咽も漏らしてはいませんし、涙も流してはいませんでしたが、心の中は号泣してました。

ではなぜ30分と経たずに号泣する人と、全く理解できない人がいるのでしょうか?

その差はクリエイティブな経験の差だと思っています。

なにかを本気で作った事のある人にとって、ルックバックの冒頭30分は「号泣するところ」なのです。

あの30分には、ものづくりの楽しさと辛さの全てが入っています。

絵でも音楽でも文章でも人形でもなんでも良いです。

何かに本気で取り組んで、ものづくりの楽しさに熱中し、

そして己の才能の無さに絶望をした経験ある人は、必ずと言っていいほど心が揺さぶられるのです。

そしてその事を理解できない人は、きっと己の才能に絶望をした事がない方なのでしょう。

出典:劇場アニメ「ルックバック」公式サイト

念のために書いておきますが、理解できない人は「努力したことが無い」と言っているわけではありません。

努力した結果、「やっぱ私って天才だわ」と思い続けている方も理解できないかもしれませんしね。

クリエイティブな経験の差だと書きましたが、スポーツとかでも良いかもしれません。

本気でスポーツに取り組んで、その楽しさと、己の限界に絶望した事のある人は、分かるかもしれません。

ろじねこさんは冒頭30分を見ながら「何て美しい作品なんだ」「これは現代の『まんが道(藤子不二雄A著)』なのか・・・」と感じていました。

出典:劇場アニメ「ルックバック」公式サイト

それと同時に「この時点でこんなに素晴らしいのに、ラストはどうなるんだ?」と不安にもなりました。

そしてラストは・・・

まぁ・・・

なるほど。と言う感じでした。

素晴しいラストではありましたが、ろじねこさん的には前半が素晴らしすぎたので、やや肩透かしを食らった印象でした。

可もなく不可もない作品が溢れるこのご時世に、どう感じるかでその人の人となりが分かるような作品がこれだけ受けるというのは本当に希望だと思います。

そもそも漫画をあんまり読みませんし、積極的に面白い漫画を探すこともないろじねこさんにとって、藤本タツキさんは突然現れてオタクが持ち上げてるよくわからない人、でしたが、

その作品に触れて、繰り返しにはなりますが「漫画ファンが、彼越しに漫画の未来を夢見ちゃうのはわからなくもないなぁ・・・」と感じました。

今後彼がその作家性を遺憾なく発揮して、是非両論巻き起こしていくのか、

ジャンプ作家としてソフトランディングしていくのかはわかりませんが、これからと注目して行きたいと思います。

ただしポチタを速攻コ〇したのだけは許さねぇ!