ディズニーの年パス不可日にあわせて、ムーミンバレーパークの冬のイベント「WINTER WONDERLAND」に行ってきました。
日中は謎解きイベントやら、パーク内の散策を楽しみましたが、
いよいよ日が傾いてきましたので、ライトアップの始まりです。
では、辛口レビュアーろじねこさんによる、ムーミンバレーパーク冬のイベント「WINTER WONDERLAND」斬りです。
以降、ネタバレを含みますので注意
まずウィンターワンダーランドは、以下のナイトイルミネーションで構成されています。
- 雪玉のシアター
- 光る花の道
- みんなの足あとの道
- あいまいなものの道(雪と氷の道)
- ムーミン谷のウィンターツリー「ツリーオブオーケストラ」
- ムーミン屋敷のプロジェクションマッピング
1つずつ解説と感想を書いていきます。
雪玉のシアター
おさびし山エリアの山頂の岩肌に影絵風の映像が映し出されていました。
影絵、音楽、ストーリー全てが寂しげで、見ていて盛り上がると言うより、いろいろ考えさせられる感じのライトアップでした。
ムーミンの物語にはその様な側面もあるので、もの悲しげな演出もわからなくはありませんし、
他のテーマパークの多くが「幸せなクリスマス」を押し出す中、一線を画する意味でも面白い思います。
が、
暗い山道を登った後に、救いのない暗い影絵を見せられて、また暗い山道を降りる客の気持ちも考えて欲しい。
落ち込むわ‼︎
光る花の道
おさびし山を登る山道の脇に、光る花のオブジェが並び、それらが不規則に明滅していました。
ま、それだけです。
あぁキレイだなぁとは思うけど、なにぶん短いので壮観さはなく、「キレイだね」という感想以外持ちようがない。
みんなの足あとの道
エンマの劇場の正面の道がブラックライトに照らされて、いろいろな足跡が浮かび上がります。
ま、それだけです。
足跡から、これはどのキャラかなどの考察が出来るので、そこそこのオタさんは楽しいとは思いますが、
一般のゲストさんは「キレイだね」以外の感想は持ちようがないでしょう。
そして何より一番の問題は、ブラックライトに反応する塗料が、昼間でも丸見えなので、
おおよそライトアップ時の想像がついてしまうし、それ以上のサプライズが無かったので、
せっかく近くを通るなら「みんなの足あとの道」を通るか・・・と言った感じの道でした。
あいまいなものの道(雪と氷の道)
リトルミイのプレイスポット付近から、飛行おにのジップライン付近にかけての通路に映像を映し、それが歩行者にわせて変化するライトアップ。
地面に映った雪をかき分けて進む様な演出ですが、この手の演出の常として、子ども達が走り回るため、ほぼ全面かき分けられた状態になってしまっている。
時間が経てば雪が戻ってくるのですが、その瞬間の子ども達が蹴散らしていくので、真白な雪原をかき分けていく感じはあまり感じられない。
まぁそんなものでしょう。
ムーミン谷のウィンターツリー「ツリーオブオーケストラ」
エンマの劇場近くにある不思議なクリスマスツリー。
昼間は「変なツリーだなぁ」位にしか思っていませんでしたが、夜になると一変。
ツリー周辺の地面に楽器のシルエットが現れ、それを踏むとその楽器の音が鳴り出す。
いろんな楽器のシルエットがあるので、ついつい踏みまくってしまいます。
これは楽しい。
数分間は熱中できました。
そして、このイベントの目玉企画、ムーミン屋敷のプロジェクションマッピングです。
ムーミン屋敷のプロジェクションマッピング
一日3回、約10分間のムーミン屋敷の壁に映像を映し出すプロジェクションマッピングのショーです。
テーマパークのランドマークへのプロジェクションマッピングと言えば、ディズニーランドのシンデレラ城へのプロジェクションマッピングが思い出されます。
しかし、ムーミンパークのプロジェクションマッピングは、ディズニーの様に歌と音楽のレビューショー的なものとは異なり、
しっかりとしたストーリーを、キャラクター達の動きとセリフで見せていく短編アニメーションの様なショーでした。
内容は、冬眠中に目が覚めたしまったムーミンが、一人で冬を越える寂しさに耐えられず、南に向かったスナフキンを追いかけようとした時、
ミイに出会い、その言葉からトゥーティッキとの会話を思い出し、彼女が語ったオーロラに思いを巡らせるというお話。
10分という公演時間を考えれば、こんなもんでしょうという感じです。
悪くはないけど、絶賛するほど壮大なショーでもありませんでした。
ワンスに始まるディズニーのプロジェクションマッピングとの大きな違いは、
ディズニーがシンデレラ城を、変わった形の「スクリーン」と見立て、その上でその形状を活かした映像を映していたのに対して、
ムーミンは、ムーミン屋敷を「ムーミン屋敷」として利用し、その屋敷で繰り広げられる物語を映し出した点。
ディズニーは、あくまでもスクリーンなのでなんでも映せますが、
バレーパークはあくまでムーミン屋敷なので、そこに関わる物語しか映せません。
可能性はあるが、統一感に欠きうるディズニーと、
安定感はあるが、世界観に制限のあるムーミン、
どちらが良いというわけではなく、根本的に作り方の違いは感じました。
さて、ムーミン屋敷のプロジェクションマッピングで残念だった点としては、
多くのゲストがムーミンバレーパークでの一日の最後を飾るショーとなるだろうプロジェクションマッピングですが、
「あー楽しかった」というカタルシスを感じることが出来なかった点。
映像も美しく、見ていてどよめきも起こっていましたが、
ラストが「答えは貴方の心の中にあります」的な終わり方なので、盛り上がるというよりしみじみしてしまいました。
実際、一部のゲストはプロジェクションマッピング終了後、みんなで拍手をして終えたそうな感じでモジモジしている空気はありましたが、
ついぞや大きな拍手は起きず、「・・・じゃ、帰りますか」という微妙な空気が漂っていました。
この冬のイベントを通じて感じた事ですが、バレーパークはムーミンの物語や世界観に縛られて過ぎている気がしました。
ムーミンの世界を大事にするのはとても素晴らしいですし、ムーオタとしてはそれだけでも十分楽しめるのですが、
一方、「テーマパーク」に遊びに来たゲストの期待に応える事も必要だと思います。
なんかオシャレな雰囲気だし、意味ありげな映像とか見たけど、
で、楽しかったのか?
と思われては、多くのリピーターを生むことは難しいでしょう。
例えば今回のプロジェクションマッピングなら、
ストーリーはそのままで良いですし、映像も美しかったです。
ですが、最後にムーミンが屋敷に戻ってそのまま終わるのではなく、
そこからゲストへのサービスとして、壮大な音楽を流して、いろんな映像を映して、盛り上がったところで
「ジャン‼︎」と終われば、ゲストも「おぉ〜」となって拍手して「すごかったね。じゃ、帰ろうか」と盛り上がったままの気持ちで帰れる気がします。
これはテーマパークの戦略の問題なので、宮沢湖畔にムーミンオタ達の為の小さな世界を作って、その中で細々とやって行ければ良いのであれば特に言う事はありませんが、
日本のテーマパーク界にそれなりの居場所を作りたいのであれば、ある程度はゲストが望むものへの対応は必要かと思います。
ムーミンの世界にこだわり過ぎたせいで、のっぴきならない状況に陥り、
苦肉の策で「ムーミンバレーパークが吉○芸人とコラボ‼︎」なんて目も当てられない事になっては元も子もありません。
ろじねこさんは久々のバレーパークで、とても楽しかったですし、
それなりに満足なイベントではありました。
少しずつではありますが、「テーマパーク」らしくなってきて、うれしくもありますが、
このまま「ムーミン」と言う閉じた世界の中を頑なに進んでいって、
果たして10年後も同じ様に飯能に来れるのだろうか?との不安も感じてしまいました。
ミッキーさん達も盆踊りをやったりしているので、
ムーミン達が盛り上がるクリスマスパーティーをやってもいいはずです。
ムーミンの世界にこだわる場所と、テーマパークとしての満足度を稼ぐ場所、それらの住み分けは必要なのかなぁ、とは思いました。
大人の事情の大変さも理解しているつもりですが、
それでも、これからもムーミンバレーパークに通いたいので、ろじねこさんのためにがんばって下さい。